ZT デジタルな第六感を養う−「コンテクスト・アウェアネス」が流行語に=米家電見本市
デジタルな第六感を養う−「コンテクスト・アウェアネス」が流行語に=米家電見本市
By DON CLARK
【ラスベガス】今年の米国最大の家電見本市、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)には、全く新しい製品分野が乏しいようにみえる。しかし今日ある既存製品をよりスマートにしようとする試みが多く見受けられる。
Bloomberg News
クアルコムのジェイコブスCEO
このような取り組みは、より高性能なコンピューターチップやソフトウエアを活用しており、それらはテレビ受像器、スマートフォン(多機能携帯電話)、家庭 用ゲーム機、家電やその他の機器に相次いで搭載されている。ハイテク企業各社は、これらの機器について、より効率的に情報を交換したり、ユーザーの行動、 身ぶりや声のほか、意図さえも分かるようにしようとしている。
この取り組みの成果は、テレビリモコンの複雑な操作やディスプレー上で指を滑らすといった行為に取って代わるものを提供する程度かもしれない。しかし、今年の CESで流行語となっているのは「コンテクスト・アウェアネス(context awareness)」、つまり、スマホやセットトップボックスといった製品が、ユーザーの望みの手掛かりを収集し、たとえユーザーの命令なしでも、それに対応できるようにすることだ。
半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のマーク・ペーパーマスター上級副社長兼最高技術責任者は、「こういった機能の誕生は転換点だ」と話した。
半導体メーカーはこうした機能の開発で中心的な役割を果たすとみられており、CESで最も積極的に出展している。CESは、8~12日の開催期間中に業界関係者を中心に15万人前後を集めるとみられている。
7日夜に行われた最初の基調講演は、スマホ向けチップ最大手クアルコムのポール・ジェイコブス最高経営責任者(CEO)が行った。長年、マイクロソフト (MS)が受け持っていたCESで最初の基調講演の枠を受け継ぐものだ。当初はMSの共同創業者であるビル・ゲイツ氏、最近ではスティーブ・バルマー CEOが基調講演を行っていた。
ジェイコブスCEOは昨年のCESで、モバイル医療機器の開発を促進するため、賞金1000万ドル(現在のレートで8億7500万円)のコンテストを行うと発表した。これは映画・テレビ番組「スター・トレック」に出てくるトライコーダ—にならった。同CEOは今年、数々の開発者やその作品を登壇させること を約束している。その多くは、モバイル端末が家庭内、体内ないし車内にあるセンサーのような別の端末とデータをやりとりすることによって可能になるものだ。
クアルコムは、こういった「スマート」な端末が「デジタルな第六感」を提供すると説明している。AMDのペーパーマスター氏はこのトレンドを「サラウンド (surround)」コンピューティングと呼んでいる。一方、半導体大手のインテルは、パソコンで表情を読み取るような技術を「パーセプチュアル・コン ピューティング(perceptual computing)」と表現している。
このトレンドがどのような名称で呼ばれようと、こうした機能を消費者は望んでいる。コンサルティング会社アクセンチュアが昨年9月に行った調査によると、 向こう1年間ブルーレイ・プレーヤーなどの単機能デバイスを購入することへの消費者の関心は薄れたか、横ばいに推移した。しかし多機能デバイスへの関心は急速に高まった。例えば、向こう1年以内にスマホを購入する予定だと答えた消費者の比率は、前年の27%から41%に増えたという。
多くの改善のための構成要素はすでに揃っている。スマートフォンは現在、最大18もの特化センサーを盛り込んでいる。動きを感知するアクセレロメーター (加速度センサー)、装置が向いている方向を判断するマグネットメーター(磁気センサー)、空間での位置を判断するジャイロスコープ(角速度測定センサー)などだ。
こうした装置の大半は現在のところ、ユーザーが特別のアプリを呼び出すなど何か行わない限り、活性化しない。これとは対照的に、「コンテクスト・アウェアネス」概念では、このようなセンサーが自動的に作動し、端末内の他の装置(カメラ、マイクロフォン、GPS制御のセルラーおよびWiFiコミュニケーショ ンを使った位置検出用チップなど)とデータ交換することが想定されている。
さまざまな機能の相互作用は非常に複雑になってきたため各社は、その調整のために「センサー・ハブ」というチップを開発した。アトメルはマイクロソフトのタブレット端末「サーフェス」にこうしたチップを提供した。
フランス・グルノーブルのモベア社は、複数のセンサーを使ってスマートフォンが机の上にあるのかハンドバッグの中なのかを知ることができるような技術を開発した。同社のマーケティング担当役員のデービッド・ローゼンベルク氏によると、この機能によって見知らぬ土地を訪ねたときにスマホのカメラを覗き込むと、スマホがユーザーを認識し、保存されている予定表を使って駅への道案内を始める。また地図の代わりに実際の景色を表示、どこで曲がればいいかを示してくれる。駅に着けば、乗りたい電車のホームまで連れて行き、もし予定の電車が出てしまっていたときは次の電車に乗るにはどのホームに行けばいいかも教えてくれる。
フランス・テレコムの子会社のオランジュ社はモベアの技術を使い、手の動きによって操作できるテレビのセットトップボックス(STB)を開発しているという。イスラエルのオーメック・インタラクティブ社は、マイクロソフトのゲーム機の「Xbox360」などに搭載される3次元(3D)のカメラを使って体の動きを認識することを可能にした。また、オーメックの技術を使えば技術者がディスプレー上の3D模型をマウスを使わずに回転させて見ることができる。
By DON CLARK
【ラスベガス】今年の米国最大の家電見本市、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)には、全く新しい製品分野が乏しいようにみえる。しかし今日ある既存製品をよりスマートにしようとする試みが多く見受けられる。
Bloomberg News
クアルコムのジェイコブスCEO
このような取り組みは、より高性能なコンピューターチップやソフトウエアを活用しており、それらはテレビ受像器、スマートフォン(多機能携帯電話)、家庭 用ゲーム機、家電やその他の機器に相次いで搭載されている。ハイテク企業各社は、これらの機器について、より効率的に情報を交換したり、ユーザーの行動、 身ぶりや声のほか、意図さえも分かるようにしようとしている。
この取り組みの成果は、テレビリモコンの複雑な操作やディスプレー上で指を滑らすといった行為に取って代わるものを提供する程度かもしれない。しかし、今年の CESで流行語となっているのは「コンテクスト・アウェアネス(context awareness)」、つまり、スマホやセットトップボックスといった製品が、ユーザーの望みの手掛かりを収集し、たとえユーザーの命令なしでも、それに対応できるようにすることだ。
半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)のマーク・ペーパーマスター上級副社長兼最高技術責任者は、「こういった機能の誕生は転換点だ」と話した。
半導体メーカーはこうした機能の開発で中心的な役割を果たすとみられており、CESで最も積極的に出展している。CESは、8~12日の開催期間中に業界関係者を中心に15万人前後を集めるとみられている。
7日夜に行われた最初の基調講演は、スマホ向けチップ最大手クアルコムのポール・ジェイコブス最高経営責任者(CEO)が行った。長年、マイクロソフト (MS)が受け持っていたCESで最初の基調講演の枠を受け継ぐものだ。当初はMSの共同創業者であるビル・ゲイツ氏、最近ではスティーブ・バルマー CEOが基調講演を行っていた。
ジェイコブスCEOは昨年のCESで、モバイル医療機器の開発を促進するため、賞金1000万ドル(現在のレートで8億7500万円)のコンテストを行うと発表した。これは映画・テレビ番組「スター・トレック」に出てくるトライコーダ—にならった。同CEOは今年、数々の開発者やその作品を登壇させること を約束している。その多くは、モバイル端末が家庭内、体内ないし車内にあるセンサーのような別の端末とデータをやりとりすることによって可能になるものだ。
クアルコムは、こういった「スマート」な端末が「デジタルな第六感」を提供すると説明している。AMDのペーパーマスター氏はこのトレンドを「サラウンド (surround)」コンピューティングと呼んでいる。一方、半導体大手のインテルは、パソコンで表情を読み取るような技術を「パーセプチュアル・コン ピューティング(perceptual computing)」と表現している。
このトレンドがどのような名称で呼ばれようと、こうした機能を消費者は望んでいる。コンサルティング会社アクセンチュアが昨年9月に行った調査によると、 向こう1年間ブルーレイ・プレーヤーなどの単機能デバイスを購入することへの消費者の関心は薄れたか、横ばいに推移した。しかし多機能デバイスへの関心は急速に高まった。例えば、向こう1年以内にスマホを購入する予定だと答えた消費者の比率は、前年の27%から41%に増えたという。
多くの改善のための構成要素はすでに揃っている。スマートフォンは現在、最大18もの特化センサーを盛り込んでいる。動きを感知するアクセレロメーター (加速度センサー)、装置が向いている方向を判断するマグネットメーター(磁気センサー)、空間での位置を判断するジャイロスコープ(角速度測定センサー)などだ。
こうした装置の大半は現在のところ、ユーザーが特別のアプリを呼び出すなど何か行わない限り、活性化しない。これとは対照的に、「コンテクスト・アウェアネス」概念では、このようなセンサーが自動的に作動し、端末内の他の装置(カメラ、マイクロフォン、GPS制御のセルラーおよびWiFiコミュニケーショ ンを使った位置検出用チップなど)とデータ交換することが想定されている。
さまざまな機能の相互作用は非常に複雑になってきたため各社は、その調整のために「センサー・ハブ」というチップを開発した。アトメルはマイクロソフトのタブレット端末「サーフェス」にこうしたチップを提供した。
フランス・グルノーブルのモベア社は、複数のセンサーを使ってスマートフォンが机の上にあるのかハンドバッグの中なのかを知ることができるような技術を開発した。同社のマーケティング担当役員のデービッド・ローゼンベルク氏によると、この機能によって見知らぬ土地を訪ねたときにスマホのカメラを覗き込むと、スマホがユーザーを認識し、保存されている予定表を使って駅への道案内を始める。また地図の代わりに実際の景色を表示、どこで曲がればいいかを示してくれる。駅に着けば、乗りたい電車のホームまで連れて行き、もし予定の電車が出てしまっていたときは次の電車に乗るにはどのホームに行けばいいかも教えてくれる。
フランス・テレコムの子会社のオランジュ社はモベアの技術を使い、手の動きによって操作できるテレビのセットトップボックス(STB)を開発しているという。イスラエルのオーメック・インタラクティブ社は、マイクロソフトのゲーム機の「Xbox360」などに搭載される3次元(3D)のカメラを使って体の動きを認識することを可能にした。また、オーメックの技術を使えば技術者がディスプレー上の3D模型をマウスを使わずに回転させて見ることができる。
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